誰が文句を言えようかこの名作に
自称映画アドバイザー、自称映画コメンテーター、自称映画ソムリエなどよく分からん肩書きの自称映画マニアが蔓延る近年、そういう輩に限って、好きな映画やおすすめの作品を聞かれると捻くれた作品を挙げがちだ。
やれ、タルコフスキーだ、フェリーニは映画好きならば観なければいけない。それよりアラビアのロレンス観た?結局はやっぱりキューブリックなんだよ!!
などと小ざかしく、洒落臭い趣味を押し付けられたところで、バックトゥザフューチャーには敵わないのだ。
もちろんそれらの作品も素晴らしいことに変わりはないのだが、みんなもっと素直になった方がいい。
「普段はよく映画観てますね」
「へー、好きな映画は?」
「バックトゥザフューチャーです!!」
この一言で全てが丸く収まる。その一言で皆んなが幸せ。
そこに来て、
「普段はよく映画観てますね」
「へー、好きな映画は?」
「ハッカニブンノイチデス」
「………。」
そういうのは胸の内にしまっとけ。
もしくは気心知れた相手とだけにしとけ。
さあ、バックトゥザフューチャーの何がそんなに素晴らしいのかというと、一番はやっぱり、誰が観ても面白いのだ。
普段あまり映画を観ない人から、毎日映画三昧の暇人映画オタクまで誰が観ても面白いのだ。
もちろん面白いにも色々あるし、結局は好みの問題だが、この芸術的な面白さは一体何なんだ。
もう一度見直してみよう。
うーん、やっぱり脚本が素晴らしいな。
あの流れるような軽快なストーリーは中だるみ一切なしで全てのシーンが良い。まるで好きなものだけ食べてる気分だ。
脚本も素晴らしいが役者がみんなハマり役だったな。
それにしてもこの独特のユーモアは笑えるな、笑ったと思ったらアクションが始まってワクワクだぜ、でも最後の方は感動して泣けてしまった…
なんでこんなに感情が揺さぶられるんだ。
そ、そうか、このバックで流れてる音楽たち、どれもこれもキャッチーで素晴らしいじゃないか。こいつらにワタシの感情は揺さぶられていたのかもしれない。
そんなことより、こんなに盛り沢山をよくきれいに2時間にまとめてくれましたね。
などなどと、研究してるうちに400回も観てしまった。
この映画は観ればみるほどに新しい発見があるから未だに熱烈なファンがいるのだろう。
流石に400回も観たら飽きてしまった。
30年後にまた観よう。