トレインスポッティングの偉業
思うに映画にとってオープニングとエンディングってのは最も大事な要素じゃなかろうか。
大体の映画は当たり障りのないシーンから始まり徐々に盛り上がっていきエンディングに落ち着く。それがセオリーだ。
あまりにも退屈で長ったるいオープニングだとそれだけで集中力が切れてしまい、気付いたらスマホをいじってたなんてことはよくある事だろう。
かと言って、オープニングに力を入れすぎると余力がなくなり中だるみ、気付いたらスマホをいじってしまう。
エンディングも同じだ。
個人的な見解だが、終わりよければ全て良しとはよく言ったもので、いくらテンポよく進んでいてもエンディングが悪いと全て台無しになる。
逆も然りで、なんかあんま面白くないな、なんて思っていても後半からエンディングが素晴らしいと観終わった後に、何て面白い映画なんだ!って高評価をつけたくなる。
エンディングが良い映画は記憶に残る。
と思う。
まぁ、とにかく現代社会はいかにスマホをいじらせないように上手い構成の映画を作るかが大事ですな。
映画館では流石に上映中スマホいじる人は少ないが、エンディングが終わったと思ったらエンドロールで待ってましたとスマホをいじり出す輩がいる。
エンドロールの大切さもマナーも分からない愚か者だ。
オープニングとエンディングの大切さを少しだけ話したところで、ワタシが思う映画史上最もと言っていいくらいに、クールなオープニングの映画はやはり「トレインスポッティング」だろう。
始まったかと思いきやいきなり「イギーポップ」の「Lust For Life」と同時に、主人公ユアンマクレガーの全力疾走が画面に飛び込んでくる。
もう、序盤からテンションMAX鼻血ブーの禁じ手。
な、なんてかっこいいんだ!
なにがかっこいいって、こんなにやりすぎなオープニングなのに、役者の誰もがやりすぎ感を出していないナチュラルな演技なのだ。
まさにこのイカれた若者達の日常を切り取っただけのような映像。
90年代、文字通り彗星の如く現れたこの映画は大ヒットし、様々なものに影響を与えていく。
こんなに下品で汚いのになんてかっこいいんだろう。
多くの人がそう思ったはずだ。
もう、この映画は一つのジャンルになったんじゃないだろうか。
この映画を模倣したような映画が沢山作られ、ことごとく失敗している。
それっぽいキャラクターにそれっぽい音楽で無駄にFワードを連呼し、まるで中学生が悪ノリしてるかのような見ていて恥ずかしくなるものばかり。まるで品がない。
そう、本家トレインスポッティングは下品なのになぜか品があるのだ。
スタイリッシュで洗練されている。
まずファッションが最高にかっこいい。
ボロボロにくたびれてるけど、そこがまたいちいちかっこいい
ジャケットの下にジャージなんて格好良すぎだろ
この映画のファッションは現在でも影響力がある。新しいとか古いとか関係ないのだ。
スコットランドの薄暗い灰色の世界に何ともマッチする憎いファッションだ。
そして話のメインになるヘロイン
何だか知らんがヘロインかっけーってなる。
助長してる訳じゃないが、ここまで開き直ってドラッグをかっこよく見せた映画はこの映画が最初だったんじゃないかな。
そんで、劇中流れる音楽がいちいちかっこよい。
音楽とファッションをここまでマッチさせた青春映画もそれまであったのだろうか。
そして99%はドロドロした内容なのに、最後の1%が異様に爽やかに終わる。
この時のアンダーワールドのボーンスリッピーがラストの爽やかなエンディングに妙にマッチしていて鳥肌ものだった。
そう、やっぱり映画はラストだ。
このラストシーンが異様でなぜか記憶に残るのだ。
素晴らしい青春映画だ。
先にも言ったかもしれないが、この映画は1つのジャンルになった。
トレインスポッティングはトレインスポッティングというジャンルを作った。これは偉業だ。
できれば20代前半までには観てほしい。
きっと何かしら影響を受けるだろう。
今更だけど少しネタバレしてるのは気にしないでほしい。
さぁ、コロナが明けたらスコットランドに行こう。